国の登録有形文化財(建造物)田中家住宅主屋の庭
2008年3月3日
田中家は淡陶社(現「ダントー」)の設立に参画し、淡路島にタマネギや酪農を普及させたことで知られる名家。その築山の庭園は『兵庫県の日本庭園』(神戸新聞総合出版センター)にも紹介され、個人所有では淡路島最大とも言われる見事な庭園でした。
この庭は、家屋の改築、造成、国の登録有形文化財(建造物)の指定などと合わせて、築山の庭園を解体し、母屋の北側に移築したもの。
陶芸家である現当主のアイデアで、「心」の字を意匠化して庭のレイアウトにしています。
家屋の改装に携わった建築家の方も入って3者で意見を戦わせて(?)デザインを決めていきました。
工事から約1年後の様子。美しい苔(こけ)は庭主様の細やかな管理の賜物。
低木・地比類などを除き、樹木、庭石、灯篭はすべて旧庭園から移動。樹木は工事の1年前から根回しをして移植の準備をしました。
カイヅカイブキの株元。隣のシンパクも株元に古木の特徴が。こういう横に広がるような仕立ての木はなかなかありません。
蹲(つくばい)は穴を加工したのではない貴重な自然の手水鉢。飛び石はかつて碾き臼に使われていたもの。この庭であらたな歴史を刻みます。
縁先手水鉢は古くからの大きなお屋敷ならでは。筧(かけひ)を新調して水音も楽しめるようになりました。